秀山祭九月大歌舞伎 9月19日昼の部

〜前置き〜

歌舞伎歴は10年ですが、まだまだ初心者。

そんな私による、歌舞伎入門的なライトな感想です。

演劇ファン(約20年)として、時々熱く長く語ります。

夏休みとして、一泊二日の東京旅行。

最大の目的は大好きな大好きな、中村吉右衛門さんの手がける秀山祭。


秀山祭とは、

初代の中村吉右衛門丈の芸や思いなどを受け継ぎ残すべく、

当代の二代目中村吉右衛門丈が始めた歌舞伎公演です。


今年は昼の部を観にやってきました!

座席は観にくさ覚悟で3列目センターのお席を。


全体像は把握しにくいのですが、

とっても細かい表情まで読み取れるのは前列ならでは。


吉右衛門さんは近くで観ても、遠くで観ても、

オーラが大きい!

観客中の気持ちが、わっと吉右衛門さんに集中するのが分かります。

惹きつける力。

圧倒されます。

同じ時を生きられることに感謝です。

《昼の部》

〜一幕 毛谷村〜

敵討ちの、敵討ち寸前までのお話なのですが(ざくっとまとめすぎ)

クスッと笑ってしまうような微笑ましい場面がいくつか散りばめられ、

敵討ちの話なのですが、憎しみなどよりも、

人の温かさがよく伝わってきます。


主役を務める染五郎さん。

追っかけている訳ではないのに、私が観劇する舞台に頻繁に出演されるので

久しぶりな感じにならない。笑


見目麗しいですが、それだけではなくてお芝居の感度も抜群。

クスッとさせる時と真剣な時の切り替えのバランスが素晴らしい方です。

ともすれば大げさになりそうなのに、スムーズなんですよね。

感情の移行が。

これは一幕と三幕の役のギャップにも言えること。



そしてこの方も、私がチョイスする演目によく出演される菊之助さん。

よく観てる笑


この方も本当に見目麗しい!美しい!

顔良し、声良し、姿良し、を体現されている方。

(前は真面目×真面目、みたいな優等生感が溢れ出てるようでしたが、

 お子さんが生まれてから真面目さの角が取れてきた気がします。)


こういうキリッとした女性がよく似合います。

以前拝見した芸者さんの役もよかったなぁ〜。

でも、空焚きしちゃうシーンの前後や、いざ夫婦!になってからの

キュートさったらないですね!



歌舞伎に出てくる女性はいじらしく可愛い女性も多く登場するのですが、

これ現代でやったらぶりっこ!?になるのですが、

歌舞伎の、女方さんが演られると、目がハートになるのです。

もうきゅんきゅん!

(特に七之助丈とか米吉丈にされたらたまらん←おっさん)


誰かロマンティック止めて状態になります(古い)



あと、発見は姑役の上村吉彌さん!!

とっても上手い。

台詞を話し始めて、あ!っと思いました。

つかみどころのない役なのですが、

あそこまできちっと役としての輪郭が浮び上るのは、

明瞭な台詞回しであっても流れず、

役の背景が見えるような心意気、所作、緩急、色んな要素がバランスよく現れているから。。。



歌舞伎を観始めて10年ほど経ちますが、

まだまだ新参者の私は認識できていない方が多いのですが、

今回の吉彌さんのような出会いがあると嬉しくなってしまいます!


特に歌舞伎は芝居の上手さというものは

主演のみなさんが持ち合わせている訳ではないので。。

(生意気にすみません)



〜二幕 道行旅路の嫁入〜

祖父×孫のコンビ。

壱太郎くんを観るのは実は初めて。


私の中で、女方は七之助さんが一番、別格で玉三郎様、別枠で米吉くん。

(お役によっては時々菊之助さんと、扇雀さんもキュートなのだよぅ。)

という図式が私の中で完成されていたので、

ノーマークだったのであまり期待してなかったのですが。


登場するやいなや



かわいーーーーーーーーー!!!!

ピンク似合う!!!!!!

かわいいーーーーーーーー!!!!



みたいな精神状態になりましてね。

根っからの女方好きな自分を自覚しました。笑


で、この可愛さは今まで感じたことのない、

ある種歌舞伎らしくない可愛さだ、

どこかで観たことあると思ったのですが、すぐに分からなくて。


大きなクリクリお目目で、

きゅるるんと相手を見つめるその眼差し。


あ!!


宝塚の娘役さん!!

おばあさまのエッセンス!?


と思ったのですが、

元娘役トップの夢咲ねねさん、愛加あゆさんの白塗り姿にそっくり。。

ということに気がつきました!

だからヒロイン系の可愛さがあったのかぁ。


ニュータイプの女方さん。

(私がしらなかっただけ)

でも追っかけるほど私の好みではない。

(誰も聞いていない)

が、超キュートである。



可憐な娘の雰囲気が、お役、踊りととても似合ってました。

とても丁寧に踊られていたのですが、

傍の藤十郎さんが気になってしまう汗





〜三幕 幡随長兵衛〜

吉右衛門さん以外にこれができる人がいるのか、疑問に思うほど。

当たり役と言われる訳がよく分かりました。


まず。

客席から登場する冒頭のシーンから、最後まで、

オーラの大きさに圧倒されます。

それは、今回の長兵衛という役にはなくてはならないもの。

あのオーラがあってこそ。


身分が上の水野(染五郎さん)が嫌がらせしてくるのも、

長兵衛という人に実は恐れも感じていたから。

自分は本当は太刀打ちできないことを知っていたから。

(だから罠を仕掛けて丸腰のところを襲う)



そういう相手だってことが、

一発で客席が感じ取れるあのオーラが物語る。

すごい〜!!



そして、人物の構築。

これでもかってくらい気っ風が良く、江戸っ子らしい男の意地を持ち、

家族だけでなく、子分や仲間、そして街の人。

みんなを大事に思い、みんなからも慕われ、

男が惚れる、男の中の男という感じが

台詞の言い回し、立ち振る舞い、ちょっとした表情に現れます。


今回特に好きだったのは、

殺されることを覚悟で水野の屋敷に向かう長兵衛の、

刀を持って奥さんが健気に止めるシーンがあるのですが、

止めるなって優しく何度か言ったあとに、

ええいって振り切るシーンがあるのですが、

その時の振り切り方やちょっとした表情、台詞の言い回し、

全てに、一言で言い表せない色んな感情がこめられていたんです。



男としてのプライド、

死にに行く勇気、

申し訳なさ、

不甲斐なさ、

悲しみ

切なさ

他の選択肢を選べるかという一瞬の迷い、

息子への気持ち、

息子を頼むぞという思い、

感謝、

決断、

覚悟。


などなど、

複雑に色んなことが絡んでいるのが、

観客に伝わってくる。



そして。

クライマックスに向かって役の感情の波が

ばんばん発せられます。


吉右衛門さんのすごいところは、

1階席の前列だろうと、後列だろうと、2階だろうと3階だろうと、

この波が、同じパワーを持って届くところ。

普通は弱くなるんですが(まさに波のイメージ)

がーっと押し寄せます。


ただし、よく演劇で言われる憑依タイプではなくて、

緻密な計算(役の構築)の上に、

心を込めて役に命を吹き込み、

でもきちんとご自身をコントロールして俯瞰しつつ、

決して作品から逸脱しないところが、

本当にすばらしい。


毎回、本当に感動します。


初めて歌舞伎を観たのも吉右衛門さん。

あの時は1階後列で、よく見えないのにも関わらず、

伝わってくる役の気持ちに心揺さぶられ、

いっきに歌舞伎にはまったのです。



そんな吉右衛門さん扮する長兵衛に対するのが、

染五郎さん演じる水野。


芝居巧者だとは思いますが、

対抗する役なのに若すぎると言われており、

なるほど確かに

吉右衛門さんの長兵衛には若すぎて軽い感じも感じました。


ただ、それが、

長兵衛に対して叶わない小粒感(失礼)といいますか、

叶わないと知ってるから卑怯な手を使う人いるじゃないですか。

そういういや〜なタイプの人として、

かえって説得力を生んでうまく作用していたかな〜と思います!


あと顔の綺麗な人は悪い役やるといいよ!笑

(自論)


よくも素手で手下を殺したな!と言い放つ割に、

お風呂に入るように仕組み、覚悟の上で何も持たない長兵衛に対して

槍をつきつけ挟み撃ちとかひどすぎる。。


だからこそ、長兵衛の決め台詞もより格好良く決まる!

相乗効果かな。

台詞も格好良いし、黙阿弥って人はすごいです。



今回も吉右衛門さんに魅せられました!

くぅぅ、格好いぜ!!